「高福祉高負担」は、経済が停滞するのか?
「老人ばかりの社会になると活力がなくなり、経済がマイナス成長に低落する。
すると老人福祉の財源がなくなる。したがって、老人の高福祉は成り立たない」
というもっともらしい説がある。
一流どころの学者・評論家にも、そんな説をとなえる者がいる。
なんとなく真実らしいが、間違いである。
「たんなる老人」=「働かない厄介者」=「マイナス成長」という先入観に過ぎない。
あるいは、「高福祉は、高税率の高負担となり、国民経済の活力がなくなる」という「高福祉高負担」説に基づく真実味あふれる説もある。
それも間違い。
日本は国民負担率(税金、公的年金、医療保険の比率)が低い。
その結果、低福祉なので、個々人で負担する資金と不安は大変なものとなり、異常に高い貯蓄となっている。
つまり個々人は、毎月数万円の掛け金を生命保険会社や損害保険会社へ支払い続けたり、老後のための貯金をせっせとしなければならない。
だから、「国民負担率プラス民間保険会社の掛け金プラス老後の貯金」で国際比較してみれば、すでに日本は欧州と大差なく、実質的に高負担となっている。
要するに、「高負担だが、低福祉と大不安」が日本の実相。
社会保障が本当に完備すれば、安心して民間保険会社への掛け金を行政に移行することができる。
つまり「こっちの金をあっちへ移すだけ」なのだ。
その結果、老後の安心が確保されるから、消費も増加し、景気も良くなる。
したがって、福祉を完備することは景気にマイナスどころかプラスになるのだ。
まあ、高福祉になれば民間保険会社は不景気になるが、仕方ない。
高福祉は地域社会に安定した職場をもたらすから、生命保険会社のセールスレディは、老人福祉の場へ向かえばよい。
高福祉高負担は経済が停滞するという根拠のない説
国民負担率が40%を超えると、経済は低落傾向に向かう、という説がある。
いや、45%だという説もある。
ちょうど半分の50%がいい、という説もある。
現実問題として、高齢化の進展によって55%になってしまう、という試算もある。
福祉が完備すると「民間保険会社への掛け金が少なくてすむ」という視点が、すなわち個人の実生活をスッカリ無視している議論ばかり。
バナナのたたき売りのように数字だけが踊っている。
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